俳句ブームの中で読む死刑囚の獄中句集

東京も朝は0℃ということでだいぶ冷え込んできました。

寒く静謐な中で読むと突き刺さってくる本。

 

今回読んだのはこちら。

異空間の俳句たち―死刑囚いのちの三行詩

異空間の俳句たち―死刑囚いのちの三行詩

 

ここ最近、テレビで芸能人が俳句を詠む番組が人気ですが、

こちらは同じ俳句でも全く異質なもの。

死刑囚によって獄中で詠まれた句集です。

 

孤独を詠んだ句、後悔の句、自由をうらやむ句、故郷の句、母への句…

これらの中で特に印象的なのは、処刑前日や当日にしたためられた句です。

その中から一句。

 

よごすまじく首拭く

寒の水

 

何も残さないで去っていこうとするこの句からは

悟りの境地に行きついたような印象もうけます。

 

しかし被害者恨みや、またその遺族が残っているということを考えると、

私たちが悟りだとイメージしている場所とは違う場所に

行きついたと考える方がいいような気がします。

それがどこなのかは自分なりにじっくり考えていきたいです。

 

この本を読んで俳句には人にうったえかける強い力があると感じました。

皆さんも面白い、うまいと感じる俳句だけではなく、

いろいろな立場から詠まれた俳句に目を向けてみてはいかがでしょうか。