「ブスにふられるより、美人にふられる方がダメージが少ない」

今回の名言。

「ブスにふられるより、美人にふられる方がダメージが少ない」

 

読んだのはこちら、

東山 彰良作品は直木賞受賞作の『流』依頼2作目。

『流』は骨太な内容に、スピード感ある展開が特徴でしたが、

今作も『流』同様にスピード感をもって読み進めることができます。

6つの短編から構成されており、内容としては今どき大学生の

有象君と無象君を中心とした男子たちが、ビッチちゃんや抜目なっちゃんといった

女性たちの言動に一喜一憂する甘酸っぱい青春ストーリー。

 

女性の描写が具体的で、ルブタンの靴を履いているとか、コートはバーバリーだとか、

「いそ~」とうんうん頷いてしまうキャラクターが読者にとってイメージしやすく、

現実のあの子に当てはめて読むことができます。

 

その他の描写も今どきの大学生ってこんな感じなんだろうなと思うことが多く、

どんな取材をしてこのポップでユーモラスな作品を作り上げていったのか

というのは興味がわくところ。

巻末の著者紹介を見ると、「1968年生まれ」と書いてあり、

今年50歳になる方が書いたのかと思うと驚きです。

 

ただ50歳という年齢(経験値)を感じさせる部分もありました。

それは引用の多さで、この引用と今どきの大学生をポップにユーモラスに

描いたバランス感が素晴らしい作品だと思います。

どちらかが多すぎると、読みにくいか砕けすぎている作品になってしまう。

知性とユーモア、このバランス感覚と、配分のテクニック

東山作品の魅力のような気がします。